半田の運河床 その1&その2

半田の運河床 その1&その2 JR半田駅から運河沿いの動線上に配置される運河床
半田の運河床 その1&その2 運河床その1は腰掛けたり、靴を脱いで上がったりできる
半田の運河床 その1&その2 運河床その1は1辺約9mの直角三角形
半田の運河床 その1&その2 床の高さは約440mm。住宅大引き用の鋼製束によって支持される
半田の運河床 その1&その2 現地に縄張りをしてその大きさを検証している
半田の運河床 その1&その2 運河沿いの蔵に囲まれて普段とは違うアクティビティを生み出している/写真©稲葉天祐
半田の運河床 その1&その2 三角形長辺正面にて半田運河と正対する/写真©稲葉天祐
半田の運河床 その1&その2 JR半田駅からの動線を受け止める/写真©稲葉天祐
半田の運河床 その1&その2 長辺にはカウンターを設けることで飲食を可能にしている/写真©稲葉天祐
半田の運河床 その1&その2 カウンターは既存の堤防とほぼ同じ高さになる/写真©稲葉天祐
半田の運河床 その1&その2 運河床は靴を抜ぎクッションでくつろぐことができる/写真©稲葉天祐
半田の運河床 その1&その2 運河を眺めながら談笑する/写真©稲葉天祐
半田の運河床 その1&その2 運河床その2は堤防沿いにさまざまな高さで15m並ぶ
半田の運河床 その1&その2 設置道路の幅に合わせて運河床もその幅を変化させている
半田の運河床 その1&その2 座面高さは低いもので400mm、高いもので1200mm。約1000mmの堤防高さを超える。
半田の運河床 その1&その2 現地に縄張りをしてその長さと幅を検証している
半田の運河床 その1&その2 運河と運河床その2。左奥が旧中埜半六邸の蔵/写真©稲葉天祐
半田の運河床 その1&その2 8つのパーツが連なり全体を形作る/写真©稲葉天祐
半田の運河床 その1&その2 座面高さの違いから隣り合う人と程よい距離感が生まれる/写真©稲葉天祐
半田の運河床 その1&その2 座面の高いものには転落防止を兼ねたカウンターがついている/写真©稲葉天祐
半田の運河床 その1&その2 カウンターを介したコミュニケーション/写真©稲葉天祐
半田の運河床 その1&その2 カウンターのディテール©稲葉天祐
半田の運河床 その1&その2 運河の対岸から見る。座面の高いものだけが堤防からひょこっと顔を出す/写真©稲葉天祐
半田の運河床 その1&その2 運河の水面と運河床/写真©稲葉天祐

概要

名称 半田の運河床 その1,その2
所在地 半田運河沿いMIM南と旧中埜半六庭園東
設置期間 2024年3月1日~3月4日
建築設計 市川大輔/adm
施工

MUSÉ creators office

竣工写真 稲葉天祐/.new

2024年3月に期間限定で設置された社会実験のための休憩・交流スペースです。

昨年11月から数か月間かけて行われた「半田運河エリア未来図づくりワークショップ」において、魅力的で地域固有の景観を擁するエリアでありながらも、来訪者が滞在しゆっくりとした時間を過ごすことのできる「居場所」が少ないという課題が挙げられました。そこで半田市はまず社会実験を行い、地域資源を最大限に活かすための方法を探ることとし、運河沿いの道路上2か所に「半田の運河床」を設置することになりました。

「運河床」とは素晴らしい運河の景観を享受するための床=場所であり、人々が思い思いに過ごし、休憩したり交流したり、さらに周囲の景観と新しい関係を生み出すきっかけとなるように計画しています。

「その1」はミツカンミュージアム前の道路上に配置され、3方向からの通りの交差点という特徴的な位置にあるため、1辺が約9mの直角三角形平面とし、各方向からの動線を受け止める形状としました。この場所の圧倒的な景観に対峙し、そのスケールと調和を図るためにも9mという大きさが必要と判断しました。ただ、その大きさが景観を邪魔するような垂直的なものではなく、水平的で平面的なものになるように心がけています。地面から40cmの高さにある床ではクッションに座ったり、寝転んだり、気ままな過ごし方が可能になります。運河に沿った1辺にはカウンターを用意し、飲食やPC作業などの活動を支えています。

「その2」は幅員3.5m程度の道路上で、運河に沿って床を8つ連ねることで全長約15mとしています。床面高さをそれぞれ400mmから1200mmまで変化させており、水面が直接、眺められるように約1000mmの堤防高さを超えるものを用意しています。高いものには手摺が取りつき、それはカウンターを兼ねています。また揺れを防止するために設置した構造用合板は、掲示板となり外観を彩ります。

また、これらはどちらも、簡易な組み立てでできており、「その1」は一旦解体して保管されており、「その2」は8つに分解して近隣の公園内にてベンチとして使用されています。

「半田の運河床」はこれからもその形態や位置を変えて、継続的に設置される予定です。地域の良好な景観に参加し、対峙し、新しい視点を築くことができる運河床は、地域住民の豊かな日常を支えるものとして、今後のまちなみを形成する上で欠かせない建築的行為と言えるのではないかと考えています。

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