グラスと人の関係性を支えるテーブル群
ラフォーレ原宿に計画されたGOODGLAS の第一号店です。当該区画は二面が通路に面し
た横⻑の⻑⽅形の平面形状。現状は飲食店に囲まれ、賑わいのある場所であり、角地のため
多くの人の目につく場所です。
GOODGLAS の取り扱うグラスは2重構成がもっとも特徴的で、その外側にキャラクター
などの様々な意匠が凝らされています。また、すべてのグラスは職人による手作りのため、
小さな個体差が存在します。そのため実店舗ではいくつかのグラスを手に取り、様々な角度
から眺めて選んでから購入するというアクションが生まれます。インターネットショッピ
ングではすることのできない、実店舗ならではの貴重な所作であるため、それを前提条件と
して設計しました。
グラスは一般的にテーブルに置かれて使用されます。そこでこの店舗においても、従来の箱
型什器ではなく、テーブルに置いて陳列されている状態が相応しいのではないかと考えま
した。ただし、通常のテーブルの高さは約700mm 前後ですが、ここでは様々な高さを与え
ることとしました。低いもので600mm、高いものでは1600mm まで用意しました。それ
は、グラスをのぞき込んだり、見上げたりしながら、その美しさや細やかさを眺めることが
できるようにするためです。さらに、高さの違うテーブルをずらしたり重ねたりすると、テ
ーブルは水平的な存在から、立体的で空間的なものとなります。重なられたテーブル群はテ
ーブルでありながらも間仕切壁のような、あるいは立体オブジェクトのような存在となっ
ていきます。
さらにテーブルの角は、丸く面取りすることとしました。それは衝突による危険性の回避と
いう条件からであったものの、その丸みの曲率をさまざまに変化させることで、円形に近い
テーブルになったり、⻑⽅形のままと感じられるようなテーブルになったり、一概にテーブ
ルといっても多様な個体差を生み出すことになりました。そんなテーブルそれぞれに、グラ
スが種類別にレイアウトして整理できるようにも配慮しました。
またこの区画に面する通路を歩くと、見る⽅向によりテーブル群の立体は様々にその表情
を変えます。細⻑く見えたり、あるいはそびえ立つように見えたり、柱脚の乱立が覗けたり、
天板だけが目に入ってきたりと、店舗内のランドスケープとして作用します。
テーブルの上にグラスが置かれる、それはごくごく日常的な風景です。その日常を支える道
具として、より楽しく、より美しく提供しているのがGOODDLAS のグラスです。ここで
は、そのグラスをより親しみ良く、手に取りやすい形で支える媒介として、テーブル群を設
計しました。このテーブル群がグラスと人の関係性をさらに豊かにするきっかけと経験を
生み出すことを目指しました。
概要
名称 | GOODGLAS ラフォーレ原宿店 |
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所在地 | 東京都渋谷区神宮前1-11-6 |
竣工 | 2023年3月 |
建築設計 | 市川大輔/adm |
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施工 | 株式会社マチスデザイン |
竣工写真 | 市川大輔/adm |