半田の運河床 その1&その2
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概要
名称 | 半田の運河床 その1,その2 |
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所在地 | 半田運河沿いMIM南と旧中埜半六庭園東 |
設置期間 | 2024年3月1日~3月4日 |
建築設計 | 市川大輔/adm |
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施工 |
MUSÉ creators office |
竣工写真 | 稲葉天祐/.new |
2024年3月に期間限定で設置された社会実験のための休憩・交流スペースです。
昨年11月から数か月間かけて行われた「半田運河エリア未来図づくりワークショップ」において、魅力的で地域固有の景観を擁するエリアでありながらも、来訪者が滞在しゆっくりとした時間を過ごすことのできる「居場所」が少ないという課題が挙げられました。そこで半田市はまず社会実験を行い、地域資源を最大限に活かすための方法を探ることとし、運河沿いの道路上2か所に「半田の運河床」を設置することになりました。
「運河床」とは素晴らしい運河の景観を享受するための床=場所であり、人々が思い思いに過ごし、休憩したり交流したり、さらに周囲の景観と新しい関係を生み出すきっかけとなるように計画しています。
「その1」はミツカンミュージアム前の道路上に配置され、3方向からの通りの交差点という特徴的な位置にあるため、1辺が約9mの直角三角形平面とし、各方向からの動線を受け止める形状としました。この場所の圧倒的な景観に対峙し、そのスケールと調和を図るためにも9mという大きさが必要と判断しました。ただ、その大きさが景観を邪魔するような垂直的なものではなく、水平的で平面的なものになるように心がけています。地面から40cmの高さにある床ではクッションに座ったり、寝転んだり、気ままな過ごし方が可能になります。運河に沿った1辺にはカウンターを用意し、飲食やPC作業などの活動を支えています。
「その2」は幅員3.5m程度の道路上で、運河に沿って床を8つ連ねることで全長約15mとしています。床面高さをそれぞれ400mmから1200mmまで変化させており、水面が直接、眺められるように約1000mmの堤防高さを超えるものを用意しています。高いものには手摺が取りつき、それはカウンターを兼ねています。また揺れを防止するために設置した構造用合板は、掲示板となり外観を彩ります。
また、これらはどちらも、簡易な組み立てでできており、「その1」は一旦解体して保管されており、「その2」は8つに分解して近隣の公園内にてベンチとして使用されています。
「半田の運河床」はこれからもその形態や位置を変えて、継続的に設置される予定です。地域の良好な景観に参加し、対峙し、新しい視点を築くことができる運河床は、地域住民の豊かな日常を支えるものとして、今後のまちなみを形成する上で欠かせない建築的行為と言えるのではないかと考えています。