ガラスの引違い窓だけで、住まいをつくる。
様々な大きさと、さまざまな透明度のガラスですべては構成される。
それらは周辺環境、風景、プライバシー、用途、明るさなどから決定される。
同一壁面にたくさんの窓があることで、ひとつの窓を閉めると
全てが分断されるということを避ける。
開いている窓もあれば閉まっている窓もある。
大きく開け放たれた窓もあれば、換気のために小さく開けられた窓もある。
人が移動するために開けられる窓もあれば、モノを収納するために閉められる窓もある。
生活が持つある種の曖昧さ、不確定さがダイレクトに顕れる。
大きさも透明度も異なる引違い窓群は、内部と外部、あるいは内部と内部の関係に
複雑で柔軟な「選択性」を与え、その境界に物理的でなく意識的な「距離」をもたらす。
隣り合う空間の部分的な相互関係だけが、建築をかたちづくる。
ここでは技巧的な開発ではなく、ありふれたシンプルなガラスを用いた
「構成」の操作によって、ガラスの魅力を再認識したいと考えた。