「心」という小説を読みました。
とっても残酷で無情で論理的。
だけれども暖かくて感情的で人間的。
政治学者である冷静な著者と、
テレビなどで見る、あの静かでゆったりとした著者と、
その両方がこの小説にも顕れているような気がしました。
「生きる」とは何だろうか。
「死ぬ」とはいったいどうゆうことだろうか。
「心」とは。
そんな絶大なる問いの、
答えがこの小説に書かれているわけではないですが
その答えに肉迫しようとする物語。
大学教授と、友人を失くした大学生とのメールでの
往復書簡であるからかもしれないですが、
親近感を持って読むことができます。
自分にはこれまで、この物語で出てくるような
壮絶的な「死」を経験したことはないし、
できればこれからも経験したくないと思うのだけれども、
この物語の、人間的で正直で恐れを知る生き方をしていきたい。
自然の力を恐れ、自分の無力を自覚して生きていたい。
謙虚でいたい。
「生きとして生けるもの、末永くお元気で」
僕も生きているからには心底、そうしたいのです。